明り


「就寝前の読書の友としての電灯を探しています。」
こんな文章で始まった、行灯のご注文をいただきました。

以前は、ご両親が使っておられた行灯を譲り受けて愛用されていたそうなのですが、
壊れていたこともあり、不運なことに無くしてしまわれということでした。
以来10年間、その行灯を想い続けて、その行灯に変わるものを
ずっと探しておられるということでした。

そのストーリに惹かれて‥‥是非、つくらせてもらいたいと感じました。
10年間の想いに答えるべく、行灯です。。

小さな、小さな、引出しがついています。
どんなものを仕舞われるのでしょうね。。


この行灯には、"すり(くもり)ガラス"というガラスを使用しました。
乳白色のような‥‥マットな感じで手触りが少しざらっとしています。
あかりをつけると、素朴でやさしい、なんともやわらかい光になります。

上には丸みをおびた隙間があり、
ここから少し、光がもれます。。。


『4面のうち1面を扉になっていて、電球交換ができるようになったら‥‥』
という、ご依頼主のご希望をかなえるべく。。。


これが扉なのです。

右へスライドさせると‥‥

扉は手前に開きます。

まるで忍者屋敷。。。

さあ、つみ木お得意の可動部。。ではありますが、やっぱりこれが一番難しいところ。
"この面に扉があります"と、あきらかにわかるようなデザインではなく
四面のデザインを統一して、なおかつ可動部が見えないように‥‥
そうして考え抜いた結果、こうなりました。
ふらりと工房に来た人々に見せてみたのですが、
結局、扉を開けることのできた人は誰もおらず、、、
「忍者屋敷みたい」と誉めていただきました。




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