廣瀬家の食器棚

こちらのご主人は20年以上も前からずっと、趣味で陶芸をしておられます。
お宅のすぐ隣には「男の隠れ家」と言える陶房があり、なんとも落ち着くその空間には、ご主人が作られた沢山の食器がありました。
ご自分で作られたもの・惚れ込んで購入されたもの。
その沢山の大切な食器たちを片付ける食器棚。

上側の棚には食器を、下側の引き出しやワゴンには様々なキッチン用品を収納。 磁器ではなく"土もの"が多くをしめるので、棚に加わる重さも半端ではありません。
ここまで大きな家具(?)を製作していると、想像もしていなかった出来事に遭遇したりします。 自分達が家具に負けてしまわないように、肝を据えて取り組みました。
仕上がって全体を組み立てた時、想像していたにも関わらず、あまりの大きさに二人とも圧倒。
技術面でも、心の面でも、本当に様々な勉強をさせていただきました。ありがとうございました。

とても喜んでいただけたのが、何より嬉しいです。


全体【W3000m/m×H2500m/m×D450m/m】
そんな風には見えませんが、お家に搬入できるように8個に分かれるように作ってあります。


 ↓手前から‥‥引き出し(小)・ワゴン2つ・
 引き出し(大)2つ・開き扉 となっています。
 取っ手に"ブラック・ウォールナット"を使い、
 一筋のラインがでるようなデザインにしました。


開きドアの内側についたポケットは奥さまのご希望だったのですが、これがかなりの難問でした。
ポケットが重すぎても扉に負担がかかるし、細くつくっても強度がなくては意味がない。
しかも、木組みだけでどうやってつくるか‥‥。
試行錯誤の結果がこちら。かなりややこしく組み合わせてあります。 これはかなり勉強になりました。



引き出しは蟻組で作りました。
取っ手下側にくぼみをつけたのですが、この手あたりが丁度良く、中々使い勝手が良い。


ほとんどがオープン棚なので、落下防止用の棒がつけてあります。
これは、取り外し可能です。


これは、すのこ状の棚です。
土ものの陶器を洗って拭いたあと、土に浸透した水気をしっかりと乾燥させるための棚。


【漆塗りの天板】
「台所なので、水気に強いものが良い」というご要望でしたので、今回、天板は漆塗りで仕上げました。
私たちが使う自然塗料の中で、最も水気に強いのはなんといっても漆なのです。
漆は手間もかかり、失敗するとかぶれることもありますが、色といい艶といい‥‥本当に綺麗です。
今回の食器棚は、実用性に伴いデザイン的にも直線が多いので、天板だけは自然の木の皮やカタチを残しました。
これまでの写真を見ている中で「あれっ?」と思われた方もおられるかもしれませんが、天板から上の棚の前の脚が2本、使いやすいように無いデザインにしています。
こうなるまで随分、あぁだこうだと話し合いましたが‥‥。こうすれば、使いやすいし天板も綺麗に見えるので。




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